梓崎優 叫びと祈り

旅をする青年は、様々な事件に出会う。砂漠のキャラバンを襲う連続殺人、風車小屋での推理合戦、列聖のひと夜に起こった奇跡……。
こういうガッツリした本格ミステリが読みたかったんだ、僕は! 第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」に始まる、素晴らしい連作短編集。どうして素晴らしいって、けっして連作だからではなく、1つずつの仕上がりが大変丁寧だからだ。序盤の風景、魅力的な謎、そして驚きが十分にそろっている。伏線の書き様、真相の見せ方は、有栖川有栖の青春シリーズを彷彿とさせる作風で、この辺りも好み。いや、本当満足。カツ丼食べたいのに、カツカレー食べてる状態が続いていたので、心から満腹です。

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)