貴志祐介 悪の教典

生徒たちに慕われ、教師陣からも信用され、苦労しながらも充実を得ている青年教師。しかし彼に不思議な恐怖を抱く生徒たちがいた……。あの笑顔は本物なのか? 彼の言葉は真実なのか? 少年少女たちのそばで、その学校の中で、奇妙な事件が起き始めるが……。
「このミス」や週刊文春で1位を採った本作は、言葉そのもののジェットコースター小説。降りたいのに降りられない、でももう体をゆだねるしかないよね、この面白さは的な。山田風太郎忍法帖級のような1作で、キャラクタの深度はないけど、点と点が繋がっていく奇妙さに、読む手を止めることはできない。そこは第1回山田風太郎賞を受賞したのも納得。実に貴志祐介。最高に面白いだけのエンタメ。俺大絶賛。そのトリックは、そのシーンのためかと驚かされるのもいい。十分に読めなかった2010年を締めるに相応しい、ボリューム、内容ともに満足。本当にありがとう御座いました。

悪の教典 上

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悪の教典 下

悪の教典 下