小さな町で育った2人の少年たちは、それぞれの道を歩んだ。アルベルトはナチの将来有望な部員に、マティアスは静かに暮らすカトリック教会の信徒として。ヒトラー政権下のドイツで、2人は国家の運命に巻き込まれ、奇妙な再会を果たすが……。
須賀さんガチじゃないっすかと、読書中に臭ってくる資料量と、今までのテーマ性「神は何をしているのか」が混じりあった絶妙な作品。ここが原点かとファンには嬉しい1作でもある。神を排した国家の暴走と衰退に翻弄される男と、神を請うあまり、その遠さに足掻く青年。ミステリとしては説明が過ぎるところもある。しかし二転三転する青春冒険小説として二重丸。ナチと神を混ぜるな危険な物語も当然面白いが、第2次世界大戦下のドイツとヴァチカンの関係が分かりやすく書かれている。冲方丁<<シュピーゲル>>シリーズの世界観は、その上に成り立っていたのかと分かること間違いない(ファンにお薦め)。
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