インガー・アッシュ・ウルフ 死を騙る男

平和で小さな町を襲った殺人事件。お飾りの女性署長は誠実に事件を追う。しかし他の田舎でも、同様の手口で人々が次々と殺されていた。管轄を越えて翻弄される署長たち。そして連続殺人犯ベラドンナの目的と正体は……。
”北アメリカの純文学作家の変名”によるサイコ・ミステリの良作。離婚・腰痛・母親と二人暮らしの署長代理ヘイゼルを代表としたキャラクタたちも素晴らしい。そして徐々に明かされてくる殺人犯ベラドンナの正体と思いが見事だ。ゆっくりとした物語も中盤からは止まらず、ここまで盛り上げてくれるかと喜ばずにはいられなかった。主人公の物語、犯人に近づいていく構成など、2011年ベストに入るには十分な作品だ。

死を騙る男 (創元推理文庫)

死を騙る男 (創元推理文庫)