ヨハン・テオリン 黄昏に眠る秋

少年が霧の中で消えてから20数年後の秋。祖父の元船長イェルロフのもとに、少年が履いていたサンダルが届く。事件後、心を病んだユリアはイェルロフを訪れるも、父娘の仲はぎこちないものだった。長年、照らされることのなかった暗闇の中に、父娘は真実を見つけられるのか……。
スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞、英国推理作家協会賞最優秀新人賞を受賞。スウェーデンエーランド島を舞台に、長年壊れたままにされた父と娘の関係を書いたミステリ。小説全体の暗い空気といい、霧がかった過疎化したエーランド島という舞台。事件当時には死んだとされる、村一番の迷惑者であったニルス・カントのエピソードを挟みつつ、徐々に真相へと近づいていく運び。緊張感の波が上手で、でも普段読まない小説の雰囲気に大変疲れてしまった。

黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)