ニック・ピゾラット 逃亡のガルヴェストン

医者から肺がんを言い渡された夜、ボスに裏切られ、危うく死ぬところだった男ロイ。運の尽きかけた現場で出会った家出娼婦ロッキーと共に逃げるが、ロイは少女の将来を考えてしまった。たどり着いたアメリカ南部の島で、中年少女たちは残りの人生を輝いたものにしようとするが……。
キャラクタ1人ずつの過去を残酷なまでに引き出しながら、大きなプロットと絡まりあう様がグイグイ読ませる。便利屋家業の残酷さと、でもどうしても隠しきれない人間らしさの対比。訳者あとがきで東野さやかが書いているけど、最初から最後まで人や物事の陰陽が溶けあった見事な1作だ。読み終わってからも、とある場面と最後を何度も読み返すほど素晴らしかった……。新生ポケミスの中で圧倒的に好き。

逃亡のガルヴェストン (ハヤカワ・ミステリ)

逃亡のガルヴェストン (ハヤカワ・ミステリ)