ユッシ・エーズラ・オールスン 特捜部Q ― 檻の中の女 ―

コペンハーゲン警察の地下に、ひっそりと構えている特捜部Q。過去に起こった未解決事件を専門に扱う新部署に配属されたのは、事件による巨大なトラウマを抱えたベテラン刑事カールと、デンマーク語さえ怪しいが、女の扱いは超1流な変人アシスタント、シリア系アサド。先ずは結果を出さねばならんと、さっそく5年前に自殺で処理された女性議員失踪事件に着手するが……。ヨーロッパ圏でベストセラーになった<特捜部Q>シリーズが新生ポケミス第4弾として登場。
マイケル・スレイド<スペシャルX>っぽい超面白そうな新シリーズが出たぞ! 噛みあわない刑事バディもの! ガチガチの警察組織! 主人公刑事は夫婦別居でトラウマ! 被害者に与えられる無茶苦茶な恐怖がサスペンス! とぶっ通しで読み終えてしまった! これは傑作! 『二流小説家』(感想)『逃亡のガルヴェストン』(感想)をぶっちぎりで抜いての1位。持っている心全て北欧に届いてくれ、ありったけの感謝を……。読み終えてもテンション下がらず、頭悪い感想を書いてしまう面白さだった。未解決事件を追う現代パートと、奇妙な部屋に監禁された被害者の過去パートが交差する構成は、まさかまさかの真相と結末に。そして終幕は稀にみる美しさ。読んでしまえば、また彼らの活躍を読みたくなる、癖あるキャラクタたちの魅力。何なんだ、この完成度の高さは。薦める意味もあるが、正直、続編読みたさに頼むから手にしてほしい。

特捜部Q ―檻の中の女― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1848)

特捜部Q ―檻の中の女― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1848)