弁護士である私が出会った、数々の加害者。妻を一撃で殺した老医師、国外に逃げた心優しい銀行強盗、犯罪一家を救うため法廷を騙そうとする青年……。彼らは紛れもない犯罪者。ただの人、だったのに。
デビュー作であり、文学賞3冠、ベストセラーとなった話題作。まるでドキュメンタリのようでもあり、しかし奇妙な味わいとミステリが溶け合った、とんでもない連作短編集だった。1つ1つの味わい深さと、最後に残される高揚感。どれも素晴らしく、甲乙つけることがまったくできない。なんとも表現しにくいけど好きなのは「チェロ」。翻訳ものにしては、登場人物も少なく、恐ろしいほど読みやすい。海外ものを手にしてみたい人に是非渡したい。
- 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/06/11
- メディア: 単行本
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