失業した青年クリスは男女4人で、依頼人に代わって謝罪する仕事を始めた。好評を得たのもつかの間、指定されたマンションの一室に行くと、そこには磔にされた女性の遺体が……。彼女に謝罪し、その録音テープを送らなければ、クリスらの家族に被害が及ぶ。脅迫された彼らの関係は徐々にぎこちないものになり、さらには不幸が襲いかかる! 車で逃げ続ける”わたし”、女性を殺した”おまえ”、そして不可解な行動をする”彼”の正体とは……。
ハヤカワ・ミステリ・リニューアル1周年とハヤカワ・ミステリ文庫創刊35周年記念作品、それにドイツ推理作家協会賞受賞をした1作。まあ、人はなんと深く暗い場所に落ちていくことか……。被害者・加害者、そして代理者たちそれぞれの持っている(た)闇を描きつつ、その行動力に反映した当にサスペンスであり、恐ろしい犯罪小説でもある。様々な心理が織りなす序盤、プロットは複雑にも思えるが、物語の面白さと、最後はそのテクニックに魅了されていることだろう。しかし読み終わってみると、えらい疲れた。ドイツ作家の書く葛藤や暗さを読むと、いつもエネルギーを大量に吸われている気がする。
謝罪代行社(ハヤカワ・ミステリ1850) (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
- 作者: ゾラン・ドヴェンカー,小津 薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/08/25
- メディア: 新書
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