ユッシ・エーズラ・オールスン 特捜部Q ― キジ殺し ―

未解決の重大事件を扱う”特捜部Q”。ごみ処理の如く設立されたものの、見事に初の事件を解決したカール・マーク警部補と、謎の助手アサド。休暇を終えた彼らを待っていたのは、誰かが置いた兄妹殺しのファイルだった。20年前に過度の暴力で10代の兄妹が死に、犯人は刑務所の中にいて、事件は解決しているはず。しかし、その背後にある今や有名人になったエリート同級生たちの残り香を、カールは逃さなかった……。
前作『檻の中の女』(感想)に続く、”特捜部Q”シリーズ第2弾の相手は巨大な敵! 霧中に散らばっているのは状況証拠ばかり。見えているのに捕まえられない経済界の癖強いエリートたち。偶然によって繋がるプロットの面白さと、刑事の経験によって一つずつ得ていく小さな手応え。スルリと逃げてしまう決定的な証拠。この積み重ねが読む手を止めてくれない。ここまで僕と相性がいいのかと思うほど一気読み。前作とは全く色の違う事件も魅力的だが、新しい女性アシスタントの加入、あの事件のこと、気になるアサドの謎も広がり、既存の楽しさは益々アップ(ハーディ! 愛してるよ!)。シリーズの色香にどっぷりとハマってしまった……。異様な早さで登場したシリーズ2冊目、はたして3作目は無事出てくれるのか(立て続けに出す予定のために、訳者が違ったのかどうか。3作目では戻ってほしいなモジモジ)。

特捜部Q ―キジ殺し―― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1853)

特捜部Q ―キジ殺し―― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1853)