スティーヴ・ハミルトン 解錠師

女性を扱うように丁寧に。けっして解錠されないように考えられていても、正しく揃えば、そう、ほら開いた。8歳のあの出来事から声が出せなくなった少年マイクル。その代わり絵と解錠の才能を開花させる。かけがえのない友人と教師、プロの金庫破りゴースト。組織とプロたち。そして、あの夏の日に出会った少女アメリア。
数々のシーンで震えが止まらなかった。冴えない少年が成長していく過去と、犯罪組織で悩む現代が交互に織りなす青春ノワールかつ、炎天下のボーイ・ミーツ・ガール。だらだらと感想書くのもバカらしい。大きな英米ミステリ系の受賞をしたことは調べてもらうとして、読んでみればその素晴らしさに驚かされる1作。ヤングアダルトに読ませたい全米図書館協会アレックス賞にも輝いているのも面白い。『二流小説家』(感想)『逃亡のガルヴェストン』(感想)と出してなお、11年ポケミス・ノンシリーズは豊作すぎじゃないですか? この12月に傑作を出す!? ありがたい限りです。本当に、今年はいい年だった。

解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

解錠師〔ハヤカワ・ミステリ1854〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)