ジョン・ハート アイアン・ハウス

孤児院アイアン・ハウスで育った兄弟マイケルとジュリアン。壮絶な虐めからハウスメイトを刺し殺したジュリアンに代わり、マイケルは大雪山から逃走した。そして兄は凄腕の殺し屋に、弟はダーク・ファンタジー作家に。マイケルは、ガールフレンド・エレナの妊娠を機会に、組織を抜けようとする。ボスの影響力がなくなった組織はそれを許さず、彼らを消そうと襲いかかる。その手は、かつて別れたジュリアンにも……。
もうまるでベテラン作家のような印象を受けるが、家族を書いてきたジョン・ハートの4作目。今回はいい意味で裏切られる、とんでもなく面白いノワール・アクションで序盤からグイグイ読めてしまう。スピード感あふれる襲撃シーンの格好よさといったら!(これは訳者の功績もあると思うんですよ) そしてまた、人々の繋がりを濃く書いた作品になっている。義理の親子、義理の兄弟、そして欲している本当の家族と兄弟。頑なに閉ざされた、それぞれの”アイアン・ハウス”を温めていく様子が上手い。正直、文庫で出すならポケミスで出さんでもとあまり読む気がなかった1作だけど、きれいにまとまるプロット、物語の優しさなど、読んでよかったジョン・ハート

アイアン・ハウス (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

アイアン・ハウス (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)