ヨハン・テオリン 冬の灯台が語るとき

スウェーデンエーランド島のウナギ岬に引っ越してきたヨアキムたち4人家族。しかし間もないうちに、死が訪れる。そして屋敷の異変。ささやき、足音、子供と話す影。屋敷の思い出を残してきた納屋。死者が現世に戻ってくるクリスマスの夜、猛吹雪の中を訪れる客たちがいた……。
舞台のエーランド島、探偵役の元船長イェルロフが引き継いだ、ヨハン・テオリンのシリーズ2作目。といってもスウェーデン民話をベースに、家族の悲劇を書いた単作に仕上がっている良作だ。様々な視点から島を描き、夏からクリスマスへと移る悲惨性が大変よいよい。前作より物語のテンポも上がっているので読みやすく、ここから手にするのもあり。
前年に『ミレニアム 3』が、翌年には皆大好きユッシ・エーズラ・オールスンが受賞した「ガラスの鍵」賞、スウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀長篇賞、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞も受賞。デビュー作『黄昏に眠る秋』(感想)ではスウェーデン推理作家アカデミー賞最優秀新人賞、英国推理作家協会賞最優秀新人賞と、すげえな。

冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)