フェルディナント・フォン・シーラッハ 罪悪

弁護士の私が出会った様々な事件。少女を暴行した男たち。レンタカーに乗った奇妙なドライバ。暴力をふるう夫からの逃避。何が彼らをそうさせたのか。その結末で、人は許されるのだろうか。
デビュー作『犯罪』(感想)で話題を呼んだフェルディナント・フォン・シーラッハの連作短編集第2弾。今回もまた現実の犯罪とミステリが混じあう傑作だ。前作に比べると、物語がもっと割り切れなくなっている。このもどかしさといったら……。この味わいを上手く表現できないが、現実に起こった奇妙なショート・ショートといった感じか。全体にわたって漂う、軽く指圧されているような違和感と奇妙さ。海外小説にしては圧倒的に読みやすいので、多くの人に手にしてほしい。

罪悪

罪悪