森博嗣 相田家のグッドバイ

建築家で哲人的な父と、ものを整理収納して一切捨てない母。普通の家庭だったけれど、少しだけ変わっていた家族。その家に生まれ、育ち、両親の死を見た彼が最後にしたことは、供養だったのか。
ファンになった15歳頃に読んでもわからなかっただろう、今30歳にして感じるもの。今までのエッセイに登場したようなエピソードと、フィクションを織り交ぜた、森博嗣の書く家族小説。淡々とした語り口だが、そこかしこに零れだす家族への愛とも苦悩ともいえない、混じりあった生々しい感情。ああ、確かにそうだなと。多分、自分の家庭や、親の今後を考える年齢の読者には、色々と感じさせるものがあるだろう。読めておいてよかったと、将来感じそうだ。

相田家のグッドバイ

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