ユッシ・エーズラ・オールスン 特捜部Q ― Pからのメッセージ ―

デンマークコペンハーゲン警察のアスベストが落ちてくる地下にある、未解決事件を担当する特捜部Q。警部補カール、助手の奇人アサド、気分屋ローセは、一通のボトルメッセージを受け取る。容易に読めるのは冒頭”助けて!”と書き手の頭文字P。これは子どもの悪戯なのか、それとも本当にあった誘拐事件だったのか。過去の記録にさえ掲載されなかった事件を、特捜部Qは掘り返し始めるが……。
『檻の中の女』(感想)『キジ殺し』(感想)に続く、「ガラスの鍵」賞を受賞したシリーズ3作目。ファンなら何も知らずに読むべき傑作。今回は未解決事件でさえない、事件にならなかった隠された過去。こんな全体像があったかと驚かされる序盤。まとまらない捜査班、悲惨すぎる被害者、残虐な犯罪者がくり広げる中盤のじれったさ。シリーズの大ファンではあるけれども、あまりにもドライブ感が強くて、読む手を止められなかった。そしてそして、またまた小出しされるあの事件と、みんな大好きアサド! 俺はこの謎なら抱かれてもいい! 今、このシリーズに出会えて、本当に嬉しい。

特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)