オリヴァー・ペチュ 首斬り人の娘

1659年、ドイツ南部の街ショーンガウで子供が無残にも殺された。遺体には奇妙な印があり、住人たちは魔女の仕業だと騒ぎ出す。孤児を世話していた産婆のマルタが魔女の容疑にかけられ、処刑人クィズルの尋問を待つのみだった。しかし処刑人クィズルと娘マクダレーナは、彼女の無実を確信していた……。
ドイツ発の歴史ミステリで、米国Kindle版が発売されベストセラーになった話題作。作者の祖先がモデル(実際に斬首人だったが、事件はフィクション)になっている点も面白い。今まで読んだパニック小説とはまた違い、魔女狩りを静かに待つ人々という描写が、あっさりした印象もあるが、実に奇妙で恐ろしい。処刑人クィズルの過去や、娘マクダレーナの恋も気になるところで、デビュー作、シリーズ1作目にして堅実な出来。

首斬り人の娘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

首斬り人の娘 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)