「新潮45」編集部編 凶悪 ある死刑囚の告発

元ヤクザの死刑囚が雑誌記者にこぼした。金のために人を殺し、まるで消えたかのように処理をしてしまう「先生」と呼ぶ人物がまだ娑婆にいる……。半信半疑の記者が関係者を訪ねる中で確信する。この告発は本当だった。
映画化もされたが、実に淡々と物語は進行する。なのに読む手が止まらず、一晩で読んでしまった。しかし死刑囚の元ヤクザが雑誌記者に告発するというシチュエーションが実在するとは。様々な要素が現実とシンクロしていく様が(ノンフィクションなので当然なんだけど)恐ろしくて震えてしまった。一歩踏み外せば、こんな沼に飲まれてしまうのか。

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)