ミネット・ウォルターズ 養鶏場の殺人 / 火口箱

素朴な少年が恋人を殺して処分した実際の事件を元に、ミネット・ウォルターズが鮮やかに書く中編表題作。村人たちの差別的な偏見が事件へとエスカレートしていくもう1話を収録。
「本を読まない大人たち」に向けて書かれた表題作がとてもシンプルなのに、こんなにも読者の感情を揺さぶるものなのか。題材の選び方から、感情移入への導線と、その反発力の見事なこと。「被害者はどこまで無罪なのか?」は重すぎる。