ジョン・ディクスン・カー 火刑法廷

デスパード家の当主が死去した。死ぬ直前の夜、当主に寝室には古風なドレスを着た女がいて、壁から抜け出したという……。伯父の死に疑問を持ったマークは、友人と墓を掘り返すが死体は消えていた。誰が、何のために、どうやって……。
妻が過去の毒殺犯と瓜二つという強烈な謎も付いてくるストーリー。どうやって解決するの? と思わせる、カーの中でも最も評価の高い本書をようやく読んだ。一部古くなってしまったトリックがあるものの、オカルト趣味と新本格風の解答が今でも十分に気持ちいい。しかし最後に超アクロバット技を見せてくるのは、正直これどうなの? メフィスト賞じゃないんだよ? 嫌いじゃないけど、好きにはなれないなあ。思わず瀬戸川猛資のカー評を読んでしまった。

火刑法廷[新訳版] (ハヤカワ・ミステリ文庫)

火刑法廷[新訳版] (ハヤカワ・ミステリ文庫)