ある人は膨大な量の書物を記憶し、ある人は遠くを見通し、ある人はその者たちを見守り続けてきた……。不思議な力を持った人々は息を潜めながら、現代社会でその運命を受け入れていた。ひっそりと暮らす常野一族を書く連作短編集。
『蜜蜂と遠雷』を読む前に、素晴らしかった記憶があったのでこちらを再読。それぞれの物語が染みる染みる。一族に生まれたわだかまりと、その運命への嬉しさを巧みに書く。表題作は、常野の人々ではない読者まで、その世界に吸い込んでしまう。誰もがあの一節で心を震わせることだろう。再読しても一級品。忘れたころにまた読みたい。
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 文庫
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