恩田陸 蜜蜂と遠雷

芳ヶ江国際ピアノコンクールを制したものは、S国際ピアノコンクールでも優勝する。若いピアニストたちだけでなく、ベテラン審査員たちも認めるジンクスをもったコンクールに、稀に見る天才たちが集まる。著名なピアニストが推薦する、ピアノを持たない無名養蜂家の少年。かつてコンクールを総なめしたものの、13歳で急遽引退してしまった少女。ピアノ人生最後のコンテストに挑む楽器店サラリーマン。名門音楽院から優勝候補と呼ばれる青年。審査から本戦まで、才能を持った人たちの苦悩と喜び。

天才はいかにも天才だし、審査員の鋭さが、まるで読者まで理解できるかのように刺激的に読ませる。そして登場する人々の疲労感までシンクロしていくようで、中盤以降がめちゃくちゃしんどい。総じて脇役まで際立ち、誰もが輝いている素晴らしい小説だった。最後はもっとパーティー感欲しいんだけど、あっさり書くのが恩田陸なのか?

蜜蜂と遠雷 (幻冬舎単行本)

蜜蜂と遠雷 (幻冬舎単行本)