小川哲 ゲームの王国

自身をポル・ポトの隠し子とも知らず、逃亡生活を続ける少女ソリヤ。貧村ロベーブレソに生まれ、神童と気づかれずに育った少年ムイタック。1974年カンボジア、革命が起こる夜に2人は出会う。その時、カンボジアの未来を変えるゲームが始まった。

本書が山本周五郎賞を受賞した日に、偶然にも早川書房社長の講演を聞いていたので、テンションで購入してしまった。あらすじ読んでもピンとこないし、読めなかったらどうしようかと思っていたけど、読み終えた感想は「マジかSF、こんなに面白くていいのか」だった。不穏な発展途上国カンボジアを舞台に、少女の逃走劇と、少年の成長譚が激しく交錯する。下巻まで一気に読めてしまう勢いも凄いけど、ポル・ポト政権の虐殺を書いた上巻ラストが見事。襲いかかるような感情の嵐に、読んでいて体が震えた。

ゲームの王国 上

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ゲームの王国 下

ゲームの王国 下