マット・ヘイグ トム・ハザードの止まらない時間

彼がロンドンへ帰ってきたのは400年ぶりだった……。16世紀末に生まれ、その成長の遅さから魔女狩りから逃げ、シェイクスピアと出会い、太平洋を転々とした。トム・ハザードは遅老症なのだ。同じ生きかたをするコミュニティ「アロバトロス・ソサエティ」へ加入することで、トムの長い長い人生は一変する……。それは安全を手に入れたのか。それとも孤独が待っているだけなのか。

新聞の書評欄で知って読んだけど、初めての新☆ハヤカワ・SF・シリーズか。長生き故に出会う人々との結末がどれも切なく、葛藤する主人公に心が痛む。過去の恋、もうしないと誓った今の恋、どんどんリフレインしていった先にある結末とは。歴史パートは雑然としたダイナミックさがリーダビリティ高く、その影響が響く現代パートがまた読ませる。

トム・ハザードの止まらない時間 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

トム・ハザードの止まらない時間 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)