江川紹子 「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち

「カルト」に関わらないためには、「カルト」事件を知ることが大切である。オウム真理教の一連の事件から死刑囚になった信者たち。彼らはどのようにして参加し、人を殺めていったのか。長年、事件取材を続けた著者が、その迷いと後悔を綴る。

あの悲劇を忘れないための1冊で、年末にもう一度取り上げたいと思います。ふんわりした新興宗教総論かと思いきや、オウム真理教を中心としたゴリゴリのカルト警告本だった。どうして入信し、事件に関わっていったのかをこ淡々と書く。宗教に頼ってしまう心のエアポケットと、思考を殺す洗脳を経て、犯罪に手を染める様子はただただ怖い。あまりにも生々しい描写があり、心臓が潰されそうに痛む読書体験だった。オカルト、実録が好きな人にもオススメしたい。