斉藤光政 戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」

青森県の旧家から膨大な古文書が発見された。門外不出の記録「東日流外三郡誌」には、大和朝廷に消されてしまった東北文明が書かれていた……。1992年の訴訟をきっかけに始まった真偽論争。東奥日報の記者が取材を重ねると、奇妙な背景が見えてきたが……。偽書事件の終焉から、終わらないその後のエピソードを追加。

オカルト番組「ダークサイドミステリー」の特集が面白く、Kindle版がセールだったので読んでみた。事件のまとめではなく「東日流外三郡誌」の訴訟問題から関わっていくので、スライム級のモンスターかと思いきや、極悪でパワフル、方向性を選ばないクレイジーな風貌に変化していく流れに引っぱられる。それを世に問うた偽書製作者への、人々の見解がとても痛々しい。追加された後記でオウム真理教が利用した様子も書かれている。産み出されたエネルギー故か、ifの歴史は魅力的で、こうも罪深いのか。