高橋ユキ つけびの村 噂が5人を殺したのか?

2013年夏、山口県の山間の12人が暮らす集落で、一夜にして5人の村人が殺害され、一部の被害者宅は燃やされた。殺人犯は山中へ逃走したが逮捕。彼の家には犯行予告とされる川柳が貼られているとして、マスコミを騒がせた。しかし、その川柳は誰かによって“貼られた”ものだった……。

ノンフィクションライターがウェブサービス「note」で掲載したことで話題を呼び書籍化。「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」、この川柳によって予告殺人とされた事件だが、取材を進めると、数人が残る集落なのに数々の噂が出てくる。第三者による嫌がらせ、動物の虐待死、正体不明の放火魔……。加害者は間違いないが、彼をそこまで育てたのは、この村だったのでは? いわゆる清水潔『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』や、鹿島圭介『警視庁長官を撃った男』のような真相を貫くような深さはない。しかし、消えようとしている村を平たく追った、背筋が凍るようなとても奇妙なルポだった。

つけびの村  噂が5人を殺したのか?

つけびの村  噂が5人を殺したのか?