小川一水 天冥の標10 青葉よ、豊かなれ

全宇宙を覆わんとするオムニフロラを阻止するため、人工超新星爆発を起こそうとするカルミアン総女王オンネキッソ。それに対抗する超銀河団諸族の巨大艦隊へたどり着いたMMS・救世群・2PAのセレス一行。ドロテア奪回、そして人類の生存を賭けた最後の生存作戦が始まる。

シリーズ全10巻、17冊にて完結。どす黒い劇場版ドラえもんのような7巻でテンション爆上げしたものの、それ以降、銀河系でのドンパチが中心になってモチベーション維持に苦労した。作者あとがきで「人類はいつか大きなつまずきを経験するかもしれない」と書いてあったが、まさに新型コロナ感染症の真っ只中に読み終わるとは……。歴史が教えてくれるように、巨大なこの物語に書かれているように、人々は賢く確実に1歩ずつ、力を合わせて何かをなし得る存在なのだと思う。勇気と知恵をくれる小説だった。