ディーリア・オーエンズ ザリガニの鳴くところ

ノース・カロライナ州の未開発な土地で暮らす「湿地の少女」に、ある青年殺害の疑いがかけられた……。1950年代後半、湿地に建つぼろ屋で育った少女カイアは、散り散りになった家族を待ちながら、6歳から1人で暮らしていた。鳥や貝、植物などの自然から生き残りの術を学び、読み書きを教えてくれる少年テイトと出会う。2人は生きる世界の違いから疎遠になるが、殺人事件を機会に近づいていく……。

まだまだ黒人差別根強い1950年代から、社会情勢が大きく変わろうとする70年までのアメリカが舞台。大自然で成長する少女がただただ美しい。湿地の緑香る風を受けているような、何時までも読んでいたい物語だった。事件が本格的に動く後半は緊張感高く、法廷シーンは迫力につられて一気読み。今年の話題作に触れられてよかった。

ザリガニの鳴くところ

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