マンハッタン島に潜む一匹の野良犬を捕獲するために、エジプトからモハメド・アヴドゥルがやってきた……。3部開始前、イギーとの出会いを書いた中編と、マンハッタンを舞台にした「ボストンテリアと下水道のワニ」を収録。主人公の巨大ワニvs.イギー戦がペットショップ戦に並ぶほどのベストバウト。パワー×頭脳を持つ静かな敵の造形は、4部のオリジナル小説「The Book」の実績を裏切らない。いつかは原作・乙一で荒木飛呂彦に書いてもらいたい。2025年を終える素晴らしい1冊になった。
続きを読む梓崎優 狼少年ABC
『叫びと祈り』以来の短編集でまさに待望の1冊。映画好きの少年の不審死を書いた「重力と飛翔」は、雪に残された足跡もの。青春×トリックのかけ合わせがレベル高くまとまり、忘れられない1作になった。評価を聞いていた「スプリング・ハズ・カム」、言葉を放つオオカミに会った記憶を探る表題作、いずれも素晴らしい。年1冊、心を満たす国内ミステリーに出会えることを、人は幸せと呼ぶのだ。
続きを読むフリーダ・マクファデン ハウスメイド
仮釈放からギリギリの車中生活をしているミリーがたどり着いたハウスメイドの仕事。でもこの一家、なにかがおかしい⁉︎ 1部・2部で物語が大きく変わるケースで、奇妙な家庭環境はサスペンスフルに、刑務所に戻りたくない主人公の必死さが可笑しい。一気に読めてラスト1行まで緊張感が途切れない書きっぷりは見事。
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