2006年から続けている「今年読んでよかった本」。くたくたになったけど楽しく充実した1年でした。皆んなよくがんばった! とはいえ2025年は優しく明るい話題で満たしたいです。この1年の読書記録は100冊以上。ティアキンに時間を費やしながらよく読みました。我ながら偉い。
まずミステリーは3冊。
筆頭はリズ・ニュージェント「サリー・ダイヤモンドの数奇な人生」。町外れで父と孤独に暮らしていたサリーが実は誘拐された被害者の子だったと判明し、現代と当時の生活が交差していく……。冷酷なサスペンスと、サリーの成長を見守る人たちの温もりが温度差となり、ページをめくる指が止められなかった。熱くオススメしたい。
シリーズ新刊が嬉しいM・W・クレイヴン「ボタニストの殺人」。刑事ワシントン・ポーのシリーズ5作目。衆人環視での毒殺と、足跡トリックを用いた密室! 人の高き精神性は物理トリックを超越する……。極上のサスペンスと、名作古典を彷彿とさせる作風のマリアージュを堪能してほしい。
子どもの読書力が上がってきたので知念実希人「放課後ミステリクラブ 1 金魚の泳ぐプール事件」を読む。4年1組の辻堂天馬・柚木陸・神山美鈴、通称「ミステリトリオ」が活躍する本シリーズ。魅力的な謎から始まり、中盤のサスペンス、読者への挑戦まである。理想的な本格ミステリの条件を満たした真相に驚きまである。心地よい満足感は子ども向けで終わらない。
ホラーは今まで以上によく読んだ。角川ホラー文庫30周年を記念して刊行された書き下ろしアンソロジー3作はそれぞれに傑作を収録。一穂ミチ「にえたかどうか」は、子育てママ×マンション×遺伝×友情=エンタメ・バトル・ホラーを短編に濃縮。圧倒的なベテランの存在感を見せる小池真理子「オンリー・ユー かけがえのないあなた」。まだ感想は書けていませんが「慄く」収録、北沢陶「お家さん」は経験上最恐と呼べる1作。
満足感では、異世界転生は読まなくても中田永一「彼女が生きてる世界線」全3巻にお腹いっぱい。
韓国で戦争や復興を通して、時代に翻弄されながらも全力で生きる母娘を書いたチョン・ミョングァン「鯨」がリーダビリティ高い傑作。Twitter(現X)での紹介、ありがとう御座いました。
源氏物語に挑戦した荻原規子「源氏物語 紫の結び」全3巻を読み終えた達成感は格別。軸となるエピソードだけをスピード感あふれる現代語訳に仕上げた萩原規子版をぜひ。
新書、その他でまとめるけど、以下の3冊はそれぞれ大きな衝撃があった。平松裕子「東大ファッション論集中講義」は、人にものごとを伝える仕事を舐めてはいけないと気づかせてくれた。密度と情熱がすごい。
諸富徹「税という社会の仕組み」は、納税を通して社会と人の関わりを力強く教えてくれる。
木下龍也「天才による凡人のための短歌教室」は、まさに本書以前本書以降で世界の見えかたが違う。短歌おもろ! 2025年は短歌を楽しみます。
以上、2024年の読んでよかった本でした。SNSを一本化してインプット・アウトプットを省力化したいです。