湊一樹 「モディ化」するインド 大国幻想が生み出した権威主義

世界最大の選挙を控える大国インド。ナレンドラ・モディが首相就任した2014年以降、脱カースト民主化によって近代化が……と思いきや、モディ化が進んでいると説く。新聞では読みとれていなかったが、外交・政治・経済など多方面において権力の集中とヒンドゥー優遇が進んでいたとは。優遇される側・されない側を生むのもナショナリズムだとは理解しつつ、テンションもモチベーションも上げてしまう薬物のような怖さがある。作られた「モディ首相」のワンマンショーが生み出すエネルギーは、いつまで続くのだろうか。

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鈴木棒 実話怪談 蜃気楼

山の怪談を得意とする著者による、実力が発揮される「鹿の葬式」「夢ヶ岳」などを収録。同時に、記憶に残す力は現代都市怪談でも十分。修学旅行の京都で飛び降り自殺を見てしまう「ある夜のこと」がしっとり怖い。北関東の山道で見かけた「奥の院」は、拭えない好奇心と奇妙な場によって、山の恐ろしさ以上のものを書く。

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宮澤伊織 裏世界ピクニック9 第四種たちの夏休み

オカルト溢れる世界を旅するシリーズも9作目。一貫して都市伝説と現代怪談の愛を書きながら、それぞれの性を模索してきた紙越空魚と仁科鳥子。1つのクライマックスに至った満足感もありつつ、そのあとの心境を瑞々しく書いていて可愛い。散々巻きこんでお世話になった小桜への説明に戸惑う姿が愛おしい……(身近ではない創作の距離だからそう思うのだろうけど)。裏世界を解析するため、DS研とのプロジェクトも進む。このまま風呂敷を広げずに「私たちの冒険はまだまだ続く……」で終わり、風呂敷を広げずにいても嬉しかったかも。贅沢だとわかっているけど。

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