三津田信三 どこの家にも怖いものはいる

作家の三津田信三は、怪談好きという編集者・三間坂と出会い意気投合する。彼の実家から出てきた「家」にまつわる奇妙な話しで盛り上がる。親戚から預かった日記には、少なからず共通点があった。もしこの怪談が繋がっているとすれば……。

ここ最近読んだ現代怪談本、どれもが本書を挙げていたので読まずにはいられなかった。怪談をどのように紡ぐかが1つの読みどころではあるけど、語り口で変わる怖さが面白い。日記、インタビュー、フィクションとして書かれた実体験、調査書の断片。作者の上手さはもちろん、怪談の奥深さを感じさせる。

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石原陽一郎 長岡正哲 石川かおり 茅和伊 アフガニスタンの未来をささえる 国際機関職員の仕事

世界銀行国際移住機関国連人口基金ユネスコアフガニスタンの国際機関で働く4人の日本人が、それぞれの視点から援助の実情と未来への道のりを語る。

アフタガニスタンのニュースを見ながら、こんなに困難な国になったのか理解したくて読んでみた。歴史的、地政学的な脅威に囲まれ、自然災害、紛争、汚職、貧困といった発展途上国が直面する問題が勢揃い。さらにテロとの戦いが増し、ボトムはさらに深まりつつある。世界で1番困難な国と呼ばれる理由がよくわかる。それでも救おうとする人たちがいて「アジアのスイス」になる日を願う。ミステリーのWhy done it ? を読んでいるような気持ちよさがあった。2009年発刊ではあるけど、ナショナルジオグラフィックの最新特集と合わせてぜひ読んでほしい。

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アルネ・ダール 時計仕掛けの歪んだ罠

15歳の少女が監禁されているとの通報を頼りに突入するも、現場はもぬけの殻。連続失踪事件として追うベリエルは、上司と衝突しながら説明しきれずにいた。残されたメッセージが、彼に宛てたものだったからだ。現場に必ずいる不審な女性に気づき、一気に駒を進めるチームだったが……。

癖の強い北欧ミステリーを読みたいと思っていたけど、個性派すぎる! 強引すぎるプロットは気になるものの、背景がどんどん変化するので一気に読んでしまった。ラストの「息を呑む」展開が洋ドラなみに強烈。あまりにも苦々しいので、続編を読むかどうか悩む。

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