マンハッタン島に潜む一匹の野良犬を捕獲するために、エジプトからモハメド・アヴドゥルがやってきた……。3部開始前、イギーとの出会いを書いた中編と、マンハッタンを舞台にした「ボストンテリアと下水道のワニ」を収録。主人公の巨大ワニvs.イギー戦がペッ…
『叫びと祈り』以来の短編集でまさに待望の1冊。映画好きの少年の不審死を書いた「重力と飛翔」は、雪に残された足跡もの。青春×トリックのかけ合わせがレベル高くまとまり、忘れられない1作になった。評価を聞いていた「スプリング・ハズ・カム」、言葉を放…
仮釈放からギリギリの車中生活をしているミリーがたどり着いたハウスメイドの仕事。でもこの一家、なにかがおかしい⁉︎ 1部・2部で物語が大きく変わるケースで、奇妙な家庭環境はサスペンスフルに、刑務所に戻りたくない主人公の必死さが可笑しい。一気に読め…
難病の母を介護しながら学校に通うも、飲んだくれの父は助けてくれず、皆んなとの時間に差が開いていく17歳の沙智。闇属性の「成瀬は天下を取りにいく」を読んでいるようで、誰一人応援できない。共感もできない。登場人物の多くは夢を見れない。未来を想像…
感想を書こうと思っても、まったく記憶になかった。なにを読んでいたんだ。読み返すと露出狂に戸惑う夫婦や、時計屋のエピソード、1つひとつが重すぎる。私はシーラッハの「犯罪」「罪悪」を求め続けていると気づく。「カールの降誕祭」が絶版だったので古書…
世界114か国、28言語以上で読まれる恋愛小説レーベル「ハーレクイン・ロマンス」。金太郎飴のイメージは間違っていなかったが、その切り口が見せる表情は時代によって変化してきたと知る。出版事情や、官能描写の選択の分析が面白い。中国は古風な描写を好み…
ヤクザの子から芸の世界に入った男と、役者の子として生まれた男の歌舞伎物語。映画を見ずに原作を読む。芸能界の光と影を、主人公の2人に重ね合わせる。成功と挫折を鏡合わせにして物語が進むのでとにかく面白い。語り口は見守るようでもあり、時には冷酷に…
ブッダの教えから2500年。実践・解釈が変わってきた今、新たな世界を創造する人たちがいる。ミャンマーで律を厳守するタータナ・ウンサウン寺院、「善行」を求めて集うダバワ瞑想センター。そして日本・京都の実験寺院・寳幢寺に参加し、仏教徒たちの経営を…
山中で身元不明の死体が見つかった。顔を潰され、歯を抜かれ、手首から切り落とされていた。報道を見た小学生が「10年前に失踪した父ではないか」と訪ねてきたが……。節々に男性・女性それぞれの強さを感じる刑事ドラマ・家族模様を複雑にからみ合わせながら…
内容はタイトルまま。ゲーム実況に至るまでと、膵臓の一部が壊死してから退院するまでを記録する。抱腹絶倒。リアルタイムではこんなことなかったろうに、面白く文章化できる力に頭が下がる。体質もあるけど、アルコール、ドラッグ、タバコ、いずれにせよ適…
ホーソーンとホロヴィッツのコンビ・シリーズ5作目。閉ざされた高級集合住宅地内で、皆から敵視されていた男が殺された。穏やかに暮らしていた住民たちにはそれぞれ動機があった……。ロンドン中心部の擬似村を舞台に、古きよき英国ミステリーを現代に蘇らせる…
死人が出る幽霊屋敷、事故物件として貸し出される家がある。相次ぐ不審死の調査を受けた探偵は想像を絶する怪異と出会う……。対策のために霊能力者を呼び、呪物が残れば吸収して強くなる。興味本位の素人には本気で怒る。スーパーサイヤ人みたいな家だ。勢い…
北山猛邦の密室・連作短編集が好評なら、と読んでみた。裏カジノがある街が消える表題作「神の光」。瞬時にして鳥居が消える「藤色の鶴」など、驚きの消失劇を5編収録。正直、好き嫌いでいえば嫌いに近い。でも、物理トリックは表題作をもって一歩先へ進化し…
似ているようで似ていないイカとタコ。その生殖を真面目に解説した1冊が、新聞書評欄に取り上げられていたので読んでみた。同じイカでも、同じタコでもこうも違うのか。スズメでもパンダでも、 1つの生物をテーマにした岩波科学ライブラリーにハズレはない。…
重大犯罪分析課の捜査員ポーと、天才分析官ブラッドショーのコンビが冴えるシリーズ第6弾。カルト教団の指導者の死体には、ブラッドショーにも解けない暗号が刻まれていた……。閉ざされた宗教団体の調査に困難を極めながら、リーダビリティー高い筋書きは変わ…
部位必殺を目的とした琉球武術「唐手」。秘伝「御内式」との戦いが始まる。驚異的な面白さもあっという間に最終巻へ。戦い、戦い、戦い続けてたどり着いた境地。「地の巻」なく完結となったのは残念だけど、マンガ以上に面白い小説を読ませてくれたことにた…
ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第4弾。ハチベエの親戚宅から無人島キャンプに行くはずが、ボートが漂流して本当の無人島へ。数日生きるだけでもたくましい。ほんのりと社会性を匂わせ、強引な展開にハラハラドキドキ。そして笑いと、ホロ…
「警視庁武術試合」を舞台に、新興勢力対古流の争いが始まる。そして闇討ちを仕掛ける「梟」が登場。マンガ以上にマンガらしく、文字の迫力に圧倒される。著者自身「こんなに面白い話しを書けて幸せ」と書くが、読めた私こそ幸せだと感謝を伝えたい。 東天の…
柔術王国の九州。新興講道館を含む関東勢。北の秘伝「御式内」。畳の上の戦いも面白いが、道中での野良試合が面白すぎる。夢枕獏には長編格闘小説ではなく、単発エピソードを集めた格闘超短編集をお願いしたい。 東天の獅子 第二巻 天の巻・嘉納流柔術 東天…
柔術から柔道へ。講道館を立ち上げた文武両道の嘉納治五郎の元へ、情熱をもった若手が集まってきた。柔道誕生物語が始まる。と思いきや、序章の主人公はブラジルにたどり着いた木村雅彦で、オードブルから豪華すぎる。続いてのスープは、圧倒的なセンスを見…
軍事境界線を越えて北朝鮮に出勤。平日は北の職員と働き、週末は韓国へ帰る。開城(ケソン)工業団地で働き、閉鎖されるまでの1年間の記録。家庭的な韓国料理が恋しくなる。美味しいキムチが食べたい……。読書という行為は「いろんな人がいて、それぞれにそうで…
ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第3弾。スキー場で出会った美人が転校してきた! でも彼女は追われていた……? モーちゃんの恋心を巡り、子どもと大人の境目を渡り歩く3人組。戸惑いながらも成長する彼らを応援せずにはいられなかった。 ズ…
高校生・久遠空々梨(くどう・くくり)の下校途中、巨大隕石が直撃して全人類は一瞬にして滅亡した! でも目覚めると三日前。従姉妹の非数値无香(ひすうち・ぬるか)の説明では、星間諜報組織〈偵察局〉のエージェント? 迫り来る隕石! 命を狙う異星人暗殺…
岩波ジュニア新書刊行1000点目。社会学者・冒険家・研究者など、世に問いかける人たちが送るブックガイド。問いかけるとはエネルギーのいる活動で、人はエネルギーを得るために本を読むのではないだろうか。 生きるためのブックガイド 未来をつくる64冊 (…
時代と組織に翻弄される女性2人という切り口で、「ババヤガの夜」評と一緒に紹介されていたので読んでみた。衝動的に退職を決めた二人の女性が、バーで知り合った男と宿に入ったまではいいけど、翌朝には密室下で絞殺されていた……。そこから衝撃の展開を交え…
岩波ジュニア新書1000点刊行、記念出版の1冊。各界著名人から図書館司書による推薦文を収録。岩波ジュニア新書はジャンルを超えて興味をもてるチャンスをくれる。読み始めて10年ほどになるが、50冊以上が本棚に並んでいる。私のベスト3は沢寿郎「鎌倉史跡見…
力だけで生きてきた新道依子は、暴力沙汰からその筋に買われ、会長の1人娘を護衛することになった。学校とお稽古、家だけを往復する、歳の変わらぬお嬢さまが何を考えているのか。分からなぬまま過ごす依子だが……。 再読につき、過去の感想を再掲。怒涛の結…
今まで遊んでいた校庭のすみに亀の銅像が見つかった。この銅像、前に進んでる! 誰が? どうして? どうやって? 事件解決に動きだしたのは、4年1組の辻堂天馬・柚木陸・神山美鈴、通称「ミステリトリオ」。全ての条件がそろったとき「ぼくは読者に挑戦する…
デパ地下で並んでいる行列に。使い古しのエコバッグの中に。子どもが書いた宿題の一文に……。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。 祠にお供えあれている「餅のようなモノ」。祖父が体験した友だちが山から降りてこない「巻き戻し」。…
ハチベエ・ハカセ・モーちゃんの3人組による痛快劇第2弾。クラスメイトの誘拐未遂とか、日常系の謎かと思いきや、本当の殺人事件を目撃してしまい、死の手前までピンチになるハードな内容。館・密室・アリバイと本格ミステリーのバランスが絶妙。 ぼくらはズ…