2008-01-14から1日間の記事一覧

みかづき紅月 キャリあね。 ― お姉ちゃんは下着デザイナー

眼鏡はダテかよチキショー! デビューから2作目のみかづき紅月『キャリあね。 ― お姉ちゃんは下着デザイナー』。馬鹿じゃないけどヌけた女性(女の子)を書かせると上手い。バリバリ働く義姉と、新入社会人の主人公の組み合わせで平均年齢は高めなのに、前作…

恩田陸 月の裏側

3人の老婆が失踪し、後日戻ってくるが……恩田陸『月の裏側』。サスペンス・ホラーで始まり、流れはSFの顔をチラホラと見せる。某海外作品に似ているものの、何度も盛り返す気持ち悪さや、水路が張りめぐらされた日本独特の(湿気を含んだような)描写が実にい…

歌野晶午 魔王城殺人事件

やっぱり少女の可愛さを書かせると尋常じゃない歌野晶午『魔王城殺人事件』。密室からの死体消失。しかも大阪にワープした? 初期の赤川次郎が扱ったようなネタで、少年探偵団が以下略なストレートな本格ミステリ。トリック以外の面白さも充実し、「大人を信…

古川日出男 ベルカ、吠えないのか?

第2次世界大戦後の歴史を勉強できる古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』。1つの島から、世界へ軍用犬の血が広まっていく犬! 犬! 犬! っつーか犬と少女(しかも可愛くない!)。ルチャリブレ(メキシカンプロレス)や、ヤクザの抗争など、組織のなんたる…

鳥飼否宇 太陽と戦慄

これが鳥飼否宇! ミステリ・フロンティアの『太陽と戦慄』で初の顔合わせになります。不良少年少女が集まった経緯と、ライブ中の密室殺人が第1部。かつてのバンド仲間が事故に紛れて殺されていく第2部。大きなネタに見せて、ミステリだけが味わえる快感が微…

石持浅海 BG、あるいは死せるカイニス

生まれた全人類はすべて女性、のちに一部が男性に転換する石持浅海『BG、あるいは死せるカイニス』。優等生だった姉が、どうしてレイプされかけたような姿で殺されたのか。特殊世界での殺人は「頭の体操」的な楽しさに、謎を解くための駆け引きが読みどころ…

ジョージ・R・R・マーティン 七王国の玉座 (1)

激動の時代に巻き込まれる少年少女たち。血族復活のために体を売るか。王の座のために兄弟を裏切れるか。地位のために感情で動く大人たちに翻弄され……ジョージ・R.R.マーティン『七王国の玉座 (1)』。これだけ美味しいオードブルが出てきたら、メインディ…

藤岡真 ギブソン

上司失踪を追うも、真っ赤な消防車の出現に惑わされ、近所の年寄りたちに翻弄される藤岡真『ギブソン』。どんどん複雑になっていく事件がストン……ストンと続けて落ちる気持ちよさ。そして真相は? と最後まで焦らしてくれる魅力もいい。ニール・ケアリーのシ…

麻耶雄嵩 神様ゲーム

子どもたちの日常が一瞬にして悲惨になり、麻耶雄嵩の力で恐さが倍増する。しかも最後はどん底な『神様ゲーム』。(麻耶らしい)本格ミステリで、これ以上ヒントを提示していたら効果がない。でも書かなきゃ意味がない。なのに書かないんだなあ。この不器用…

道尾秀介 向日葵の咲かない夏

たった1つのルールが、妙なラストを演出する本格ミステリ道尾秀介『向日葵の咲かない夏』。夏休みを目の前にして、いじめられっ子のS君が自殺していた。発見した僕は先生に知らせるも、死体は消失。そして再び現れたS君は、事件を解いてほしいと語りかける。…

浦賀和宏 上手なミステリの書き方教えます

浦賀和宏『上手なミステリの書き方教えます』は、ミステリと非モテへのルサンチマンが合わさった爆発小説。「脳内で幸せが続いたのに!」とファ・ユイリィを裏切って、好きな子ができたことさえ不幸に思うのかよお前は。素晴らしいと思いながら、誰かに薦め…

あおぞら鈴音 バンドしようよ ― 幼なじみボーカリスト

あーまーいー! 「高校生」の肩書きも消えて、レギュラー陣と変わらない装丁で登場したあおぞら鈴音『バンドしようよ ― 幼なじみボーカリスト』は、純愛ガッチガチの学園部活もの。部活色を出すのが難しいバンドで、あくまでも中心にあるテーマは少年少女の…

高木彬光 ミイラ志願

これは面白い! 初彬光でしたが、こんなに巧妙な語り口調で伝奇物(歴史物に極々近い)を書いていたとは。100点満点中、90点以上の花丸ですね。巻末エッセイは二階堂黎人。それと中島河太郎の高木彬光の説明があります。あれ? 二階堂大先生は本格しか読まr…

獅子宮敏彦 砂楼に登りし者たち

獅子宮敏彦『砂楼に登りし者たち』は、時代小説と本格ミステリが融合した連作短編集……そんな無茶な! と思えるトリックも久しぶり。シチュエーションとのからめ具合は絶妙で、後々の作品にスゲーのを書いてくれそうな気にさせる。しかし、これを読むならホワ…

恩田陸 蒲公英草紙 ― 常野物語

昔をふり返るような語り口調が上手く、どんどん引き込ませる>第2弾恩田陸『蒲公英草紙 ― 常野物語』。小説としては物足りなさを感じるけど、女性の回顧録ならこれでいいのか。だからこそ、少女の心の中心がどこにあるかによって風景が変わり、そこから絶妙な…