2008-01-25から1日間の記事一覧

森博嗣 どきどきフェノメノン ― A phenomenon among students

森博嗣『どきどきフェノメノン ― A phenomenon among students』を読むが……。面白くないわけじゃないけど、面白いともいいきれない。なつかしい短編「何をするためにきたのか」を彷彿とさせる、何時でもどれだけでも書けるタイプの長編。どきどきフェノメノ…

赤木かん子編 ミステリーセレクション5 ミステリーはミステリーを呼ぶ

子ども向けに編集されたミステリ・アンソロジの5巻目。大御所から2編を収録した赤木かん子編『ミステリーセレクション ミステリーはミステリーを呼ぶ』。島田荘司の御手洗もの「IgE」は荒々しい発想でありつつ、そのテンヤワンヤの騒ぎが楽しい1編。鮎川哲也…

上遠野浩平 酸素は鏡に映らない

ミステリーランド第12弾の上遠野浩平『酸素は鏡に映らない』。なんかセカイってスゲー格好よくねーか? と子どもなら思っちゃう(25歳になっても)文体と台詞が良さとして読める、企画に相応しい1冊。既刊シリーズと繋がっているパーツ自体も面白く、次を読…

宇月原晴明 聚楽 ― 太閤の錬金窟

第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞でデビューした『信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』の続編になる宇月原晴明『聚楽 ― 太閤の錬金窟』は、面白さと出来が格段とアップ。京都聚楽第の地下で秀次(秀吉の甥)が錬金術をしていたってネタをベース…

宇月原晴明 信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス

宇月原晴明『信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』は第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。信長は両性具有者(ふたなり)だったよーってネタの時代小説パートと、30年代ドイツにいたフランス詩人アントナン・アルトーが日本人青年と出会う、2構成…

乙一 銃とチョコレート

乙一『銃とチョコレート』を読む。4部も乙一も好きな読者は永遠の乾きに苦しむことになるのでした。おしまい。いや本当、素晴らしい作品なんだけど、期待するなっつーのも無理な話しで。なんか未練がましい男でやだなあ。銃とチョコレート (ミステリーランド…

冲方丁 オイレンシュピーゲル 2

2冊同時発売かと思いきや犬=オイレン版から先にでていた冲方丁『オイレンシュピーゲル 2』を読む。ロシアの衛星がオーストリアに撃墜し、詰まれていた原子炉を狙って7つのテロ組織が動き出す、冲方が書く最高のジャンク小説。マルドゥック・シリーズほど読…

冲方丁 スプライトシュピーゲル オイレンシュピーゲル (1)

近未来ウィーン。人種・文化・技術が集結する国際都市ミリオポリスを襲う様々なテロ。それに立ち向かうのは特技増強された少女たち。弾丸のように飛び交う妖精『スプライトシュピーゲル』と、瞬時にして走りぬく犬『オイレンシュピーゲル』。 記号を使った冲…

古橋秀之 冬の巨人

この流れで古橋秀之『冬の巨人』を読む。軽っ! って短いからとか文章そのもののことではなくて、まじでジブリ映画を堪能した2時間のような、実に爽やか心が軽くなる読後感。短編でもなく長編でもなく、アニメ映画のために作られたような絶妙な中編であり、…

山口雅也 ステーションの奥の奥

山口雅也『ステーションの奥の奥』は、叔父との楽しい夏休みを利用して、新築改装前の東京駅を自由研究にするはずだったが……、誰も通れないはずの封鎖地区で首切断死体を発見してしまう。素晴らしいシチュエーションが用意されていて、後味のよさは格別。好…