宇月原晴明 信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス

宇月原晴明『信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』は第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。信長は両性具有者(ふたなり)だったよーってネタの時代小説パートと、30年代ドイツにいたフランス詩人アントナン・アルトーが日本人青年と出会う、2構成が織り成す伝奇もの。ネタでがっつり噛まれてリーダビリティ高い文体で読まされ、安土城の調査が19世紀終盤に突如始まる理由が伝奇的要素と結びついたラストに超快感。現地に行ってからずっと疑問だったんだよね。それぐらい不自然に感じる調査開始時期、このコンボで得られた興奮だけで手放し絶賛しておく。

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)