トマス・H・クック ローラ・フェイとの最後の会話

冴えない歴史学者ルークは、小さな講演のためにセントルイスを訪れる。そこで出会ったのは、彼の過去に大きく関わったローラ・フェイ・ギルロイ。殺された父と浮気をしたローラ。最愛の母を弱らせたローラ。なぜ今? どうしてここに? ルークは警戒しながらも、彼女をホテルのラウンジに誘った……。
今月11月のポケミスはベテランのトマス・H・クック。物語はほぼ、ラウンジでの冴えない男女の会話と、回想によって書かれる、寂れた町で成長していく1人の少年と家族の物語。ネタを投下するタイミングや、思わせぶりな台詞、そして奇妙に二転三転する真相。怒涛の少年成長譚としても書けるのに、それを会話と細かく変化する雰囲気によって読ませるクック恐るべし。

ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ 1852)

ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ 1852)