若竹七海 依頼人は死んだ

念願の詩集を発表し、売れ行きもよかった婚約者が突然自殺した。なぜ。相葉みのりは調査を友人であり探偵事務所に勤める葉村晶に相談するが……。身に覚えのないガン通知に怯える女性。画家が残した奇妙な絵と屋敷。探偵事務所の同僚の奇妙な生活……。葉村晶に持ちこまれた事件は、どれも奇妙な真相にたどり着く。

ガツン! と殴られるようなミステリーを読みたくて手にしたけど、これはドゴッ! とボーリング玉を投げられたような重々しい連作短編集だった。どうしてこんな嫌な物語を思いつくんだ。刃物の通しかた1つで、思いもしなかった美しい断面図が現れる、この感動。読後感の悪ささえ気持ち良すぎる。だからミステリーはやめられない。

依頼人は死んだ (文春文庫)

依頼人は死んだ (文春文庫)