志賀賢治 広島平和記念資料館は問いかける

1945年8月6日8時15分、広島に原爆が投下された。75年が経とうとする2019年、広島平和記念資料館は開館以来の大規模リニューアルを行った。被爆資料の収集から始まった原爆資料館は、来館者に何を伝えてきたのか。

岩波ジュニア新書の『綾瀬はるか 「戦争」を聞く』を読んでから興味があり、リニューアル後に訪れた。最後まで苦しんだ様子や、残された家族の言葉など、メッセージ性の強さに驚かされた。この内容で「平和記念」なのかと、矛盾のような印象を感じたが、「平和を記念できる」からこの展示が可能なんだと気づいたときは魂が震えた。遺物の収集に始まり、のちに1人ずつの記録へと発展していく。その意図が本書で読めたことはとても嬉しい。少しでも興味を持った人は、広島平和記念式典を町中で迎えた著者の序文を読んでほしい。