サマンサ・ダウニング 殺人記念日

トラブルから生じた殺人と隠蔽をきっかけに、共同作業を経て夫婦円満となった「わたし」と妻。しかし殺したはずの女性が生きたまま監禁されていた。どこで? なぜ妻はわたしに隠した? 過去にいた殺人鬼の復活だと街でもメディアでも話題になるが……。

主人公である夫の軽口と、仕事から家事までバリバリこなす天才肌の妻。年ごろの子どもたちがスパイスとなり絶妙な1作。どんどん窮地に追い込まれる物語に、手が止まらず分厚さをまったく感じさせなかった。今年のベストにいれると決めたのは、エピローグの残り香が気持ちいいからだ。良質なサスペンスを読み終えると、いい夢を見ているような快感がある。