芦沢央 火のないところに煙は

神楽坂を舞台にした怪談を書かないかと依頼を受けた、作家の「私」は奇妙な占い師の話しを聞くことになる。広告に残されたメッセージ。見えない動物らしき何か。未来を視る隣人。それは偶然か、それとも人為では説明できない怪異なのか。

静岡書店大賞受賞だけでなく、週刊文春ミステリーベスト10で5位、このミステリーがすごい! 10位、ミステリが読みたい! 7位とランクイン。違和感が残る紹介者の書きかたが絶妙で、怪談でもあり、ヒューマン・ホラーとしての完成度がかなり高い。アドバイザーや拝み屋の信頼しきれないキャラクター描写はぜひ読んでほしい。千街晶之の解説含めて、書き下ろしの最終章、表紙裏まで怖い。