佐藤究 テスカトリポカ

麻薬密売の利権を巡りカルテル同士の抗争が激化したメキシコ。急襲を受けたバルミロはジャカルタに逃走し、日本人の臓器ブローカーと出会う。世界の富裕層を顧客とする臓器ビジネスを実現させるため、彼らは日本に降りたった。金と臓器を目当てにした潮流に、孤独な少年コシモは飲み込まれるが……。

進化とチンパンジーを書いた「Ank : a mirroring ape」も同じく、中盤まで一気に読ませる力が素晴らしい。知的好奇心と暴力はまさに油と塩。セックスという砂糖がなくてもモリモリ読める。幕の閉じるには尚早だと感じるほどの勢いで終盤を迎えるので、日本での物語、とくにコシモの活躍はもっと書いてほしかった。というかこれ、メキシコ・ジャカルタ・日本を舞台にしたバルミロの物語なの?

「テスカトリポカ」を巡る書店でのやりとりが、初めてバズりました。ありがとう御座いました。コロナ禍以降、京都にある書店の一助になればと大垣書店ジュンク堂をメインに購入しております。