ホリー・ジャクソン 自由研究には向かない殺人

英国の町で5年前に起きた17歳の少女の失踪事件。交際相手だった少年が事件に関わっていたとされるが、自殺によって幕を閉じた。少年と親しかった少女ピップは、無実を照明するために関係者へインタビューを、自由研究として始めた。皆の口は固く、遅々として進まない調査だったが……。

聡明なピップが調査を進めると、彼女を太陽にして立体物の一面を照らすのだけれど、同時に事件の影が色濃くなるストーリーテリングが絶妙。学園生活、街の暗部、勇敢なスパイもの、どの切り口もページを楽々と進めてくれる。残酷になりすぎず(一部辛い展開があったが)、二転三転する物語に満足。