荒木あかね 此の世の果ての殺人

小惑星テロスが阿蘇に激突すると発表され、大混乱に陥った世界。パニックで廃墟化が進む太宰府で、小春は教習所に通い自動車の教習を受けていた。年末、教習車のトランクから滅多刺しの女性死体が見つかり、元刑事の教官イサガワと捜査にでることに。

史上最年少で第68回江戸川乱歩賞を受賞。各評判がよかったので読んでみたが、世界観とよく絡んだ堅調なミステリーだった。なによりも最高だったのは、歪な世界で真っ直ぐ生きようとする教官イサガワのキャラクター。ダーティーな行為にも及びながら、懸命に捜査を進めようとする姿勢が沁みる。不器用さと賢さと、正義感に溢れた女性像に魅かれた。キャラ萌えする年でもないと思っていたけど、久しぶりの感情だったな。あたりまえだけど、続編を望めないのか……。