小鍛冶孝志 ルポ脱法マルチ

「近くでいい居酒屋知らない?」その一声についていったらマルチ商法に片足を入れていた。新聞記者である著者が、コロナ禍で彼らに出会い惹かれていく。なぜ彼らはやりがいを求めるのか。通称「事業家集団」「環境」と呼ばれる組織が引きこむ手法とは。

NHKスペシャル取材班「半グレ 反社会勢力の実像」と同じく、記事をそのまままとめて新書にした本だった。お酒の場を通して、彼らがなぜ惹かれていくのかを引き出したり、組織の主要メンバーにコンタクトを取るところまで踏みこんではいる。だけど、印象としては報告書に終わる。強くなった気にさせる時代小説とか異世界転生とかのような、パッと賢くなった気にさせる新書を読んでしまうのやめたい。