塩田武士 罪の声

父の遺品の中から見つかった、カセットテープと黒色のノート。そこには記憶にない幼少時代の自分の声が入っていた。それは31年前に未解決のまま終わった「ギン萬事件」で犯人が使用した音声だった。一方、大手新聞社文化部の記者は、特集記事の助っ人として事件を洗い直すが、意外な糸口が見えてきた……。
第7回山田風太郎賞受賞。グリコ・森永事件を扱った作品。読んでいるうちにフィクションか、ノンフィクションか境目がわからなくなってきて、僕は少ししんどかった。事件を知っている人には、別アプローチとして読めたようなので、一度は事件の本を読んでみるかな。

罪の声

罪の声

津原泰水 11 eleven

戦時中、見世物小屋で日々の金を稼ぐ、血の繋がっていない異形の家族。百年に一度生まれ、未来の事象を伝えるという「くだん」を一族に加えようとする。(「五色の舟」) 戦争に召集された領民に変わり、戦地へ行った偽りの領主の息子。帰国したが、自分は死んだことになっていた。(「土の枕」) 他9編を収録。
初めて「五色の舟」を読んだときに感動して、近藤ようこのコミック版も何度も読み返した。淡々としているのにとても残酷で、こんな体でも、どんな世の中でも生きたいという気持ちが、物語とともに深々と降り積もっていく。とてもとても好きな小説だ。「土の枕」は読み終わる瞬間に、小さな悲鳴を挙げてしまった。他9編は分からないものもあり。久しぶりに津原泰水を読んだ。

11 eleven (河出文庫)

11 eleven (河出文庫)

麻見和史 石の繭 警視庁殺人分析班

新橋のビル内で、モルタルで固められた変死体が見つかった。計画的な犯行に捜査は難航するかと思われたが、犯人から捜査本部に電話が! 交渉を担当することになったのは新米刑事の如月塔子だった。癖の強い面々と共に、塔子は次の事件を止められるのか。
週刊文春ミステリーレビューでシリーズ新刊が好評価だったのと、たまたま書店で見つけたら、ドラマ版特別表紙の木村文乃だったため(ちょっと好き)。犯人への手がかりに強引なところは苦言ありだけど、挑発的な犯人もストーリー上で面白いのと、意外な被害者がトリッキーで見事。母がシリーズ愛読者だったことも含め、驚きの1冊だ。