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恩田陸 光の帝国 常野物語

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ある人は膨大な量の書物を記憶し、ある人は遠くを見通し、ある人はその者たちを見守り続けてきた……。不思議な力を持った人々は息を潜めながら、現代社会でその運命を受け入れていた。ひっそりと暮らす常野一族を書く連作短編集。

蜜蜂と遠雷』を読む前に、素晴らしかった記憶があったのでこちらを再読。それぞれの物語が染みる染みる。一族に生まれたわだかまりと、その運命への嬉しさを巧みに書く。表題作は、常野の人々ではない読者まで、その世界に吸い込んでしまう。誰もがあの一節で心を震わせることだろう。再読しても一級品。忘れたころにまた読みたい。

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

アンデシュ・ルースルンド ベリエ・ヘルストレム 制裁

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護送中の幼女連続殺人犯が2名の刑事に暴行を加えて逃走。かつて捜査に関わったベテラン警部グレーンスは再び犯人を追うことに。一方、愛娘を保育園に送った作家フレドリックはテレビを見て驚愕する。園前に座っていた保護者のような男性は逃走犯なのか? 娘の元に駆けつけるフレドリックだが……。

『熊と踊れ』のアンデシュ・ルースルンドのデビュー作。それ以上に読み終えた時の充実感ゼロ(絶賛)。初っ端からガツガツ読ませにくるんだけど、誰かに愛着をもったら負け……。父も、殺人犯も、幼女を見る様子が生々しく、それぞれの愛は全く別なのに似ているのはどうしてなのか。全体に漂う性犯罪者への嫌悪感・差別が相まって、緊張感と悲しさが止まらない。もともと武田ランダムハウスジャパンから出版されていた作品に光を当ててくれてありがとう御座います。グレーンス警部が好きではないけど続きが読みたい。

制裁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

制裁 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

京極夏彦 姑獲鳥の夏

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東京、雑司ヶ谷にある医院から奇妙な噂が聞こえてきた。そこには娘がおり、20ヶ月も身籠っているという。どの夫は密室の書斎から消えてしまったという。事件に関わってしまった文筆家・関口は、榎木津、京極堂に事件解決の協力を求める。この世に不思議なことなど何もない……。

妻の妊娠をきっかけにノベルス版で再読。これと森博嗣を読んでいなかったら、今の僕はなかっただろうなあ。と15歳からの20年がフラッシュバックして真っ青。いしいひさいちのパロディはしっかり覚えているのに、大筋は間違って覚えている始末。

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)