2021-01-01から1年間の記事一覧

21年度読んでよかった本

2006年から続けてきた今年読んでよかった本シリーズ。リビングで携帯を触らないようにして、新聞や雑誌、簡単な読みものを手にするようにして正解だった。おかげさまで久しぶりに100冊を超える記録になりました。 今年のベストでまず挙げたいのは本作。暴力…

石原真 AKB48、被災地へ行く

2011年3月11日の東日本大震災。アイドルにできることを模索するため、被災地への訪問活動が同年5月から始まった。毎月1回、早朝の東京を出発し、その場でセッティングをして歌って踊る。アイドルそれぞれが見た景色、被災者でもある観客との記録。 静岡県熱…

蟹江憲史 SDGs入門 未来を変えるみんなのために

「だれ1人取り残さない」という理念のSDGsはどうして生まれたのか? 経済・社会・環境にまたがる17項目を丁寧に解説する。 あまりにも理想すぎるので「だれ1人取り残さない」には素直に賛同できない。しかし、ボトムの底上げが必須なのはわかった。実体験と…

黒木あるじ 怪談売買録 嗤い猿

黒木あるじが地元の大学祭で行った”怪談売買所“。不思議な体験や、奇妙な記憶を語り始める訪問者たち。連作を含む73話を収録。 今年だけで10冊以上実話怪談を読んできた中で、このシリーズは大きな収穫。ちょっとした時間に読めるショートショートとして実話…

アリス・フィーニー 彼と彼女の衝撃の瞬間

ロンドンから車で2時間の距離にある小さな町っで起こった殺人事件。森の中で発見された死体には、マニキュアで“偽善者”と書かれていた。事件を追うのは、メインキャスターから外され故郷に戻ってきたBBC記者のアナと、地元警察の警部ジャック。それぞれの語…

増田俊也 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

「木村の前に木村なく、木村のあとに木村なし」と言われた歴史上最強の柔道家・木村雅彦。同時に大衆の目前で力道山に敗れた男でもある。貧しい家庭から「鬼の牛島」に見出され、人の限界を超える3倍努力で猛練習を経た結果、天覧試合で圧倒的な強さを披露す…

板垣恵介 夢枕獏 藤田勇利亜 小説 ゆうえんち 4 バキ外伝

“ゆうえんち”入園から葛城無門に躊躇なく襲いかかる参加者たち。柳龍光を目前に、火照った格闘猛者たちが少年の匂いに惹かれて集う……。 常々官能的な匂いはしていたけど、ロングランの恋愛少女マンガの連載が終わり、エピローグ後に書かれる後日談のカップル…

中山市朗 怪談狩り 黒いバス

「新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第7弾。死んだはずの友人が家の前に立っている。農地の中に現れた廃病院。明らかな怪異に足が立ちすくむ……。 死んだ友人を乗せる黒い霧のような固まり。興味本位で乗車を試みる「黒いバス」を書いた不…

菱川さかく チェンソーマン バディ・ストーリーズ

藤本タツキ「チェンソーマン」初の小説化。名探偵に憧れたパワーと助手のデンジが、山中の館で起こる消失事件に挑む! かつて相棒だった岸辺とクァンシ。そしてアキと姫野の初任務。ボーナストラックは何度も延期となった夢の江ノ島旅行……。 原作のバカバカ…

似鳥鶏 推理大戦

日本人の富豪が発見した「聖遺物」。「聖遺物争奪戦」のために開催された「推理ゲーム」。カトリックと正教会は「特殊能力」を備えた名探偵たちを世界中から招集した。たった1人の勝者を選ぶため、ある集落でゲームが始まるが殺人事件が発生し……。 清涼院流…

五十嵐律人 原因において自由な物語

人気作家・二階堂紡季が書き進めていたプロットは、実際にあった事件に酷似していた。顔面偏差値アプリが原因でいじめられていた男子生徒が廃病院から墜落死を遂げた。追うように、調査に関わっていたスクールロイヤーが同じ場所から墜落してしまう。実事件…

溝口敦 細木数子 魔女の履歴書

渋谷の小さな飲み屋で客を誘い、裏社会の男たちと勢力を伸ばした細木数子。その裏では裏切られた男たち、苦汁を飲まされた女たちが数知れずいた。辛辣なコメントで視聴率の女王と呼ばれ、占い本で大豪邸を築いた女の正体とは……。 闇の伝記とでも呼ぶべきか。…

雨宮純 あなたを陰謀論者にする言葉

コロナワクチンの隠さられた数字。世界を牛耳る闇の組織。健康をよくし、今までの自分から変わり、真実に近づくために存在するノウハウの数々。どうして人は陰謀論に惑わされるのか。 オカルトや新興宗教に興味があったり、Twitterの紹介で読んでみた。キー…

逢坂冬馬 同志少女よ、敵を撃て

1942年、モスクワ近郊の村で狩りをして暮らしていた少女セラフィマは、ドイツ軍の襲撃で母を殺され、村を焼かれてしまう。辛うじて命を得た彼女は女性狙撃小隊に所属して復讐を誓う。厳しい訓練からスターリングラードの前線で見た風景とは……。 第11回アガサ…

廣嶋玲子 ふしぎ駄菓子屋銭天堂 1

路地の先に見えたお店。どうしてこんなところに駄菓子屋が……。今までに見たことのない色とりどりのお菓子。大柄な店主の女性が紹介する言葉は心地よくて……。 これ、一度しか出会えないレンタルビデオ屋を描いた藤子不二雄A「憂夢」と一緒だ……。懐かしい……と…

佳多山大地 新本格ミステリを識るための100冊令和のためのミステリブックガイド

綾辻行人『十角館の殺人』から源流とする新本格ミステリ。令和3年までの軌跡を100の名作で紹介するブックガイド。 読むのをやめていた北村薫。気になっていた井上夢人。読んでいなかったのかと問うた「競作五十円玉二十枚の謎」。本書のおかげでめちゃくちゃ…

平山夢明ほか 瞬殺怪談 死地

平山夢明をはじめ怪談の名手10名による154話を収録。 さまざまな著者による実話怪談を収録するシリーズ第7弾。たったの数行が怖いほど、物語の入口がどれも見事。ご当地怪談よりはマンションや駅、帰り道といった漠然とした環境が好き。 瞬殺怪談 死地 (竹書…

我妻俊樹 忌印恐怖譚 くびはらい

奇怪、異様、不可思議な話しに聞き耳をたてていると、いつか自分も体験することになる……。実話怪談50話を収録。 語り口、ほどよく短い1話のボリューム感、そしてじわっとくる余韻。「瞬殺怪談」で出会ってから著者のはよく読んでるな。 忌印恐怖譚 くびはら…

井上夢人 ラバー・ソウル

おぞましい様相に誰もが目を背け、社会から隠れて生活をする鈴木誠。しかし彼の書く高度なビートルズ評は、多くの専門家を唸らせた。鈴木誠が偶然にも出会ってしまった、若手モデルの美縞絵里。彼女に魅せられ、大胆なストーキングを開始するが……。 梅田駅の…

北村薫 盤上の敵

妻の友貴子がいる家に、猟銃を持った殺人犯が立て籠った。末永純一は警察が囲んでいるため、帰宅も身動きもできなくなってしまった。偶然にも犯人とコンタクトを取った純一は警察、報道局をも利用した秘密裏の作戦を強行する。 佳多山大地「新本格ミステリを…

山下柚実 年中行事を五感で味わう

正月のお雑煮に始まり、七草粥、節分、雛祭り……。土地の空気と混ざり合いながら続けられてきた年中行事には、つねに無病息災、子どもたちの成長を願った。そこに存在する音、味、匂いなど五感との結びつきを紹介する。 語り口が優しく、軽い歳事記読みものと…

森博嗣 マインド・クァンチャ

都を目前に、炭焼き小屋で眠っていたゼンは多勢の敵に起こされる。1人の剣士に圧倒的な技量差で敗れてしまうが、谷から落ちたことで姉弟に救われ一命を取り留める。しかしゼンは記憶も刀も失ってしまった……。 そもそも山田章博のイラストいる? 記憶喪失って…

サイモン・シン 数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち

アメリカの人気長寿アニメ「ザ・シンプソンズ」。ハーバード大学の数学者たちが、シナリオライターとしてドラマや笑いを議論しているとはあまり知られていない。熱狂的ファンである著者が、散りばめられた数学トリビアの楽しさと、そこに隠された意味を解説…

森博嗣 フォグ・ハイダ

暮れる前に峠越えを急ぐゼンの前に表れた賊。1人は金目当て、もう1人はゼン以上の剣の使い手と見てとれた。かろうじて逃れたゼンは、あの剣士に再度の手合わせを願う。 森博嗣が書く時代小説シリーズ第4弾。前半は技を磨いていくドキュメンタリーのようで、…

若竹七海ほか 競作五十円玉二十枚の謎

池袋の書店で、土曜日ごとに五十円玉二十枚を千円札に両替する中年男の真意とは? 若竹七海の実体験にプロアマ問わず13人が挑戦し、妙技と解答を堪能できる競作アンソロジー。 謎の圧倒的存在感よ。デビュー前に若竹七海賞を受賞した倉知淳の力技は、立方体…

現代用語検定協会 監修 現代用語の基礎知識学習版 2020 - 2021

毎日のニュースで見る単語の中には、新語や時事語が多く含まれています。重要ニュースからロングスパンの時事問題まで、キーワードと一緒に解説。 新型コロナウィルス感染症から新聞を読むようになって、時事語を勉強する機会がなかったと気づいた。意見・思…

水月昭道 子どもの道くさ 居住福祉ブックレット

子どもたちために安全な通学路の確保が問われる。だけど、本当に彼らのためになっているのだろうか。子どもたちの視点から見ることで、安全のあり方を問う。 近所の会社がメダカを飼っていて、学校帰りの子どもたちが立ち寄っていく様子を見て、寄り道したこ…

ホリー・ジャクソン 自由研究には向かない殺人

英国の町で5年前に起きた17歳の少女の失踪事件。交際相手だった少年が事件に関わっていたとされるが、自殺によって幕を閉じた。少年と親しかった少女ピップは、無実を照明するために関係者へインタビューを、自由研究として始めた。皆の口は固く、遅々として…

市川憂人 岡崎琢磨 坂上秋成 円居挽 谷川ニコ 私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! ミステリー小説アンソロジー

なぜか星海社から小説アンソロジー第2弾『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』が刊行!谷川ニコによるパンツの柄を当てる本格推理から、ダイイングメッセージ、日常の謎、作戦会議までが集結。 うっちーと二木の絵文字コンビによる推理合戦が、意…

伊吹亜門 幻月と探偵

関東軍が支配する満州。哈爾浜(ハルピン)にある旧陸軍中将の屋敷で、毒殺事件が起こった。岸信介から依頼を受け、厳寒の世界で調査を進めるが関係者の口は硬かった。屋敷に届いた脅迫状に書かれた「三つの太陽」の真相とは……。 デビュー作の幕末から、今作…