2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ドン・ウィンズロウ 砂漠で溺れるわけにはいかない

素人探偵ニール・ケアリーのシリーズ最終5作目。急に子どもを欲するカレンを置いて、ニールは最後の仕事へとラスベガスへ。かつての有名コメディアンを家に帰すだけの簡単な事件に思われたが……。 事件の中心が水面下で動くようになったので、前半3作目『高く…

ドン・ウィンズロウ ウォータースライドをのぼれ

素人探偵ニール・ケアリーのシリーズ4作目。今までにあった繊細さは消えて、ドタバタとした笑いが絶えない1作。ここにシリーズの幕が閉じられていく悲しみのようなものを、読み込んでしまう。今までの大きな事件で得てきた成長ぶり、素晴らしい恋愛模様を見…

ドン・ウィンズロウ 高く孤独な道を行け

シリーズ再読。ロサンゼルス、ハリウッドから始まった、離婚が絡んだ子探しは簡単に終わると思えたが、話しはネヴァダで白人至上主義を掲げるカルト宗教を監視することに……。シリーズで主人公探偵ニール・ケアリーが最も精神的な高みにたどり着く本書は、代…

9月から配属が変わるので化学教科を勉強中。高校時代の教科書、大学時代の有機・熱力をもう一度引き出すことになるとは。 先日亡くなった祖父が実験系ではなく、理論系だったことを初めて知る。俺が熱力好きで、最終的にそっちへ流れたのも遺伝なのかなあと…

ドン・ウィンズロウ 仏陀の鏡への道

シリーズ再読。'77年のサンフランシスコ、返還前の香港、そして中国を舞台に、青年探偵ニール・ケアリーが放り込まれるシリーズ2作目。裏テーマでもある”成し得なかった歴史”が前作より格段にアップ(副大統領選へ出馬する議員の娘探し)。毛沢東の意思を継…

ドン・ウィンズロウ ストリート・キッズ

完結した5作目まで読めていないことを思い出し、せっかくなのでシリーズを再読。青春の煌めきと、ニューヨークの騒音を、これだ、これだと確かめつつ。と思ったら、こんなにも偶然性に頼った展開だったのか。だけど、そこを盛り上げていく青年探偵の主人公ニ…

安楽椅子犯人 - 湖岸の盲点 - 解答編

以前に書いた(id:h-moto:20080727:1217091646)、フリー・ゲーム、サウンドノベル『安楽椅子犯人 - 湖岸の盲点 - 小此木鶯太郎の事件簿 解答編』が公開されたので、さっそくプレイ。まさに”湖岸の盲点”とも呼べる点をついてきたミスに大満足。小説媒体のミ…

加地尚武 福音の少年 闇と光を統べるもの ― Good News Boy

全7巻にしてシリーズも終わり。パチパチパチ。完結するライトノベルは、いいライトノベルだ。エヴァンゲリオンの二次創作に始まり、主人公(シンジ君)は世界の選択を迫られるが……。とりあえず敵と戦っていればストーリが進んでいたような、キャラの個性が没…

木原浩勝,中山市朗 新耳袋 第10夜 ― 現代百物語

完結したもなにも……ともかく最終巻。いつも通りの『新耳袋』で、最後には連作形式の小話が掲載されている。季節を象徴する本が年1冊出る(元は2冊だったが)のは、心地よい体験だった。記憶に残るほど強烈なものはなくも、ふと思い出させるほど、かすかに残…

ジョージ・R・R・マーティン『乱鴉の饗宴』を読了してから魂抜け中。積んでいるものを消化したいんだけど、ドン・ウィンズロウ再読を始めたのが運のつき。おもしれー。ニールかっけー。 氷と炎の歌>>第3部『剣嵐の大地』と、『新耳袋 第十夜』『ストリート・…

鎌田人間 おしかけサキュバス!

なんと二次元ドリーム文庫、第一弾! 鎌田人間『おしかけサキュバス!』を読む。神様も世界創造したのはいいけど、悪魔でヌく奴が現れるとは思ってもいなかったんだろうな。敬虔なクリスチャンでなくてよかった。というわけで、ドジでエッチが恐いサキュバス…

青橋由高 純情 彼女は剣道部!

あと二冊で青橋作品はコンプリート。というわけで青橋由高『純情 彼女は剣道部!』を読む。おしとやかな処女従姉に童貞を奪われ、嫉妬したツンデレ処女義姉に無理矢理押し倒され……、と実に青橋らしい作品。戦闘描写が意外と多く、伏線を無駄に広げていない物…

青橋由高 微熱 彼女は水泳部!

『微熱 彼女は水泳部!』を読む。青橋由高のデビュー作とはいえ、ヒデェ作品を書いていたもんでして、プロットを説明したところで誰も信じてくれないでしょう。るりるり艦長(なでしこ)みたいな後輩にオナニー見られて脅迫されて、目の前でセックスされて、…

おきわいお 聖王女フェリアーナ

おきわいお『聖王女フェリアーナ』を読むが……、王女の股間にそそり立つペニス! 飛び散る母乳! 囚われの身の王子は性転換させられ処女膜貫通! ギニャー! なんで僕の苦手要素ばっかり詰め込んであるのよ。ファンタジーは魔法があるので覚悟は最低限してい…

青橋由高 Kiss 〜 魔法少女は修業中

これで青橋由高の既刊コンプに達成、『Kiss 〜 魔法少女は修業中』を読む。表紙はしんたろーですが、中はSHI-DENなので表紙買いには注意を(とくに変わらないけど)。男女の恋仲を結べば試験に合格! という魔法少女もの。雑破業以降の正統派エロラブコメを…

開田あや 眼鏡っ娘パラダイス

お仕事先から頂戴した開田あや『眼鏡っ娘パラダイス』を読む。ありがとう御座います。黒縁眼鏡の古典教師に押し倒されて童貞喪失、茶縁のクラスメイトは後輩の銀縁優等生とレズで……。非モテ少年が眼鏡っ娘なら勃起する! という開眼ネタ。妄想を展開するなど…

小川一水 老ヴォールの惑星

小川一水『老ヴォールの惑星』を読む。評判以上に面白い。表題作だけが再読してもどうしても分からなくて、しかしネタが分からないから面白くない、というのではなくて、最後に収録されている「漂った男」なんか不思議な世界観と主人公の奇妙さに惹かれます…

黄支亮 可憐 〜 巫女に願いを

初めての黄支亮となる『可憐 〜 巫女に願いを』を読む。イラスト(みさくらなんこつ)とタイトルが可愛い系だったので学園ラブコメ調だと思えば、何故か神面を付けた男たちに試練を託されるエロ萌え伝奇に。町の存亡を賭けた強制破瓜が始まる……、本当なんで…

渡辺真澄 サキュバスの亡霊 ― ゴスロリ少女MAKI

地雷覚悟で読んだ渡辺真澄『サキュバスの亡霊 ― ゴスロリ少女MAKI 』がなんと意外な当たり。某ゴスラノベが好きならチェックして損はない。同級生に調教されるラブコメで、ヒロインの軽い電波っぷりが可愛い。シチュエーションが制服(脱ぐけど)・パジャマ…

古橋秀之 タツモリ家の食卓 2 星間協定調印

いやもう心の琴線に触れる触れる! 古橋秀之『タツモリ家の食卓 2 星間協定調印』は素晴らしいですな! 少女と男が出会って何が悪い! それはともかく、ドタバタしているんだけど妙に話が落ち着いているあたり、安心して読めるのかも。巨大なスケールで戦争…

わかつきひかる 銀盤プリンセス ― 生意気なMドレイ

近代ジュブナイルポルノ史上、もっとも話題となった作品を挙げるならわかつきひかる『銀盤プリンセス ― 生意気なMドレイ』になるだろう(嘘です)。エロパロ・パクリなどの話題は高森太郎の日記。『銀盤プリンセス』が詳しい。 http://d.hatena.ne.jp/Takamo…

古橋秀之 タツモリ家の食卓 3 対エイリアン部隊

駄目! もう駄目! 古橋秀之『タツモリ家の食卓 3 対エイリアン部隊』は素晴らしいです! 古橋を呼べ! 面白いです! 戦闘シーンも、命をかけた人間大砲シーンも最高なんだけど、やっぱキャラがいて、その間に生まれる意思疎通がたまらん! キャラクター小説…

稲葉深緑 銀盤の妖精達 〜蕾、淫華開く時〜

一部で話題の稲葉深緑『銀盤の妖精達 〜蕾、淫華開く時〜』を読む。スポーツ系の「失敗、セックス、成功」の流れを組みながら、仲間の嫉妬や外国選手との交流などを交えてしまっているので、どうもエロが薄く見えてしまう。ある意味で物語が面白いという表現…

貴志祐介 異形のまなざし 十選

日本経済新聞(日経新聞)で連載されていた貴志祐介「異形のまなざし 十選」で検索してくる方は何を求めて? と考え、一応ですが紹介されていた作品リストを作っておきます。個人蔵以外の作品に関しては、リンク先(美術館や書籍)がある作品には付け加えて…

雑破業 シンデレラ狂想曲

雑破業『シンデレラ狂想曲』を読む。急に現れた大富豪の祖父との約束は、一週間以内に婚約者を見つけること。ちょっと不良で強引な夏姫のリードで童貞喪失、コスプレ少女の春美の積極的な誘いに断れず、英語教師の秋子に無理矢理押し付けられて……、と短編AV…

海猫沢めろん 左巻キ式ラストリゾート ぷにふごEX

文芸ピラミッドの最底辺からの下克上。そんな海猫沢めろん『左巻キ式ラストリゾート ぷにふごEX』を再読。十何人の女の子たちでエロを捌こうと思えば、オナニー・フェラ・本番などを一人ずつに振り分けないといけない。裏返しにすれば、一人当たりのエロが薄…

須賀しのぶ ブラック・ベルベット 緑を継ぐ者と海へ還る少女

とりあえず3冊目にてシリーズ第一部完でしょうか。須賀しのぶ『ブラック・ベルベット 緑を継ぐ者と海へ還る少女』を読む。友人から突っ突かれながら読み終わりましたが、なるほどなるほど(実は流血ほど読む気はないんだけど〜)。戦う女性の話しなんだけど…

雑破業 チャイルド プレイ 〜委員長の秘められた欲望

作者あとがきに書かれているように、今までの「パンツを脱いで読むラブコメ」(良い言葉だ)ではない、委員長が脅迫に従うダーク路線、雑破業『チャイルド プレイ 〜委員長の秘められた欲望』を読む。幼稚園児のコスプレをする理由にも違和感なく、一つのサ…

米澤穂信 犬はどこだ

「ミステリ読みのためのミステリ」に触れるのは実に一月半ぶりです。米澤穂信『犬はどこだ』を読む。全てがシンプル過ぎるので狙っている箇所が分かってしまうのですが、しかし面白い。二つの事件が今か今かとクロスするまでを待たせる手法も気持ちよくイラ…

ジョージ・R・R・マーティン 乱鴉の饗宴

マイケル・スレイド新刊でもでたら、確実に満腹以上になって死ねる。1部から再読という超長い前夜祭を経て、氷と炎の歌>>第4部『乱鴉の饗宴』を読み終えた……。至福。 第3部『剣嵐の大地』までは、北のスターク制と中部のパラシオン、ラニスター制との一大混…