米澤穂信 犬はどこだ

「ミステリ読みのためのミステリ」に触れるのは実に一月半ぶりです。米澤穂信『犬はどこだ』を読む。全てがシンプル過ぎるので狙っている箇所が分かってしまうのですが、しかし面白い。二つの事件が今か今かとクロスするまでを待たせる手法も気持ちよくイライラとさせてくれる。二人の探偵も嫌味なく、だけど対極にいるのでメリハリが違和感なく生じる。事務所を開いたばかりでノウハウが今一つ分かっていない点も、個人それぞれの探偵能力を魅せてくれる。基本的なことばっかりなんだけど、久しぶりにミステリへのリハビリには最高でした。だけど92年の某作品は超えられないのか、米澤穂信よ! なんて僕は言ってしまいます。(2005年08月)

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)